今日のこぼれ日

リフトの記憶 

つながっていく時間

二十年ぶりにスキーを履き、リフトに乗った。

最後にスキーをしたのは、今は亡き父と出かけた、

あの冬。

子どもたちが少し大きくなった今年の冬、

父がそうしてくれたように、

私は子どもたちをスキー場へ連れ出した。

かってにすすむスキー板に振り回され、

何度も転び、お尻も手袋も冷たく濡らしながら、

それでも滑り続ける子どもたち。

少しずつ少しずつ転ぶ回数が減り、

ついにリフトに乗る時が来た。

久しぶりのリフト乗り場。

ひとつ、リフトの背中を見送る一呼吸。

子どもと共に乗り場の線へ一直線。

なんとか転ばず到着したのもつかの間、

後ろからせまってくる椅子に、胸が高鳴る。

座れた瞬間、ふわりと浮き上がり、

あっという間に高みへ運ばれて行く。

リフトってこんなに高くて怖かったっけ。

でも、ふしぎと爽快。

柱が近づくたびにガタガタと揺れるのも、

どこか懐かしい。

誰かの乗り降りで、

ふっと止まるあの瞬間さえ、

胸がきゅっとして懐かしい。

ゆっくりと登っていくリフトのなか、

気持ち良さそうに滑り降りてくる人たちを眺めながら、

会話がふくらむ。

ーーそうそう、こんな感じだった。

親子って、

自分が子どものころに受け取ったぬくもりを、

こうしてまたつないでいくものなのかな。

凍りつくような風を頰に感じながら、

心が愛おしさに包まれて、

胸の奥が、静かにあたたかかった。